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このままではダメ?マネージャーに今、求められる「コーチング」

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管理するだけの人になっていませんか?

マネジメント(management)は、英単語を直訳すると「管理」や「経営」という意味を持ちます。ですが、マネジメントの始祖ドラッガーの定義では、「組織に成果をあげさせるためのもの」であり、マネージャーは「それに責任を負っている人」のことになります。

昨今では、いわゆる管理業務と呼ばれる仕事はシステムやAIに任せられるようになり、さまざまな業務が手離れしている管理職は多いでしょう。一昔前の管理職は、「何かあったときに部下の責任をとる」、「失態のフォローアップをする」といった役割でしたが、現代においては、それだけでは足りません。なぜなら、それだけでは人も組織も成長することができないからです。

人や業務を管理するだけの管理職はもはや必要とされず、「組織に成果をあげさせるには、人・組織をどう作り上げていくか?」に向き合い続けなければ、管理職としての存在意義がなくなってきました。

なぜマネジメントに「コーチング」が欠かせないのか?

真のマネジメントに有効な手法として近年存在感を増しているのが「コーチング」です。コーチングとは、「目標の場所へ導くこと」を語源としていて、自主性を促し、目標達成に向けて能力を引き出したり、モチベーションを高めたりすることをいいます。

コーチングと比較して語られる手法に「ティーチング」があります。こちらは、文字通り、知識やスキルを“教える”ことが基本となっていて、マネジメントされる側は常に受け身です。10~20年くらい前までの日本企業であれば、ティーチングのマネジメントで上手く組織が回っていました。

しかし、業務が基本プロジェクトベースで進められ、専門性が組織の中でも重視されたり、AIの登場で効率化が進んだりと、働き方や業務内容が変化してきている近年、受け身な仕事を求める人や組織は淘汰されてしまいます。

また、職場で起きる問題も技術的課題ではなく、人や組織を変える必要のある適応課題に重みが出てきているなかで、自主性を促し、能力を引き出せるコーチングは必要不可欠なものとなってきているのです。

コーチングの原則と期待できるものとは?

コーチングの基本的手法は、無限の可能性を持った相手(クライアント)の、課題解決のための解を内から引き出すことです。答えは必ずクライアントの中にあるので、コーチングする側が答えに誘導したり、求められているかもわからないアドバイスを与えたりしません。

コーチングには「双方向」、「現在進行形」、「個別対応」という3つの原則があります。

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双方向:コーチングとはコミュニケーションスキルの一つでもあるので、双方向なのは当然と思われがちですが、意外と上司の考えを押し付ける一方通行の場合が多いのです。部下の意見をきちんと聞く、聞き出す姿勢が必要です。そうすることで何事も指示待ちだった部下の行動が変わっていきます。

現在進行形:行動変容は1回のコーチングで起こるわけではありません。コーチングを受けた上で起こした行動をフォローするようにコーチングを受け、また行動を起こすといった繰り返しでパフォーマンスは上がっていくのです。

個別対応:コーチングは基本的に1対1で行います。単純に人数だけの問題ではなく、かける言葉やタイミングについても、クライアントによってカスタマイズが必要です。性格や感じ方はもちろん、秘めたる力も人それぞれ違うため、個性を尊重し、寄り添う姿勢が大切です。

この原則に則って、コーチングを受けると、自分の能力が引き出され、自分なりの解が見つかるので、それが行動に変わりやすくなります。一方的に決められてやらされ感のあることは、大人だってモチベーションが続きません。しかし、自分で決めて自主的に動けば、モチベーションも高く保て、成果にも結びつきやすくなります。成果がでると、自己肯定感がもて、自信もつくので、一過性で終わらず個々の成長と、結果的に、組織の成長につながるという正のスパイラルを生むのです。

コーチングに求められるスキルとは?

コーチングはもちろん外部のプロコーチにお願いすることも可能です。自分の内なる声を明らかにしていくのに、第三者だから話しやすいといったこともあるかもしれません。しかしながら、コーチとクライアントの間に信頼感関係は必須ですし、上記の3原則を忠実に実行していくのであれば、常に一緒にいるマネージャーほどコーチ役に最適な存在はいません。

コーチングに必要なスキルを身につけ、メンバーのコーチングを行うことで、信頼関係をより深め、メンバーも組織も成長させることができれば、マネージャーとしての本来の責務をはたせることにもなります。

コーチングに必要な基本スキルはいくつかありますが、まず身につけたいのは、以下の3スキルです。

傾聴:単に「聞く」のではなく、文字通り耳を傾けて聴く。言葉だけでなく、仕草や表情、その裏にある感情の動きなどにも配慮して対話する。

承認:成果だけでなく、対話の中で感じられた成長や気づきに対しても、きちんと言葉にして伝える。また、成果が出ていなくても、そのプロセスに目を向ける。

質問:クライアントの思考の幅を広げたり、気づきを促したりできる質問をする。

一見、マネージャーであれば身についているスキルのようでもありますが、本質の部分を勘違いしている人も多いのが現実です。

例えば、「傾聴」とは受け身で相手の話したいことを聞くこと、「承認」とは成果を認め褒めること、「質問」とはある程度予想した答えを引き出すことだと思っていませんか?

「傾聴」は、相手の感情にまで踏み込んでいく能動的なスキルですし、「承認」はそのプロセスにおける成長や能力開発にこそ必要ですし、「質問」は一緒に解を探していく工程を作っていくものなのです。

まずは、誤解のないようにこれらのスキルを身につけられるようにしましょう。

コーチングの落とし穴とは?

しかし、コーチングも万能ではありません。クライアントのキャリアや立場によってはティーチングが有効な場合もあります。例えば、絶対的な知識不足の状態では引き出せる解の幅も狭まってしまいますし、成果が出るまでに時間がかかってしまうので、新人教育のようにある程度短期的に知識やスキルをつけないといけない場合や、大勢に同じことを行ってほしい場合などは、ティーチングが必要でしょう。

また、コーチングでは基本的にアドバイスは与えないので、相手の状況によっては別のアプローチのほうが伸びる可能性もあります。

ただ、コーチングがうまくいかない理由として、コーチとクライアントの相性が重要と以前は言われていましたが、研究や分析が進んだ現在では、コーチにきちんとしたスキルが備わっていれば相性は関係ないと言われています。言い換えれば、コーチにスキルがないとコーチングは機能しないのです。

セルフコーチングでトレーニング

コーチとしてのスキルを高めるために有効なのが、自分で自分をコーチングするセルフコーチングです。きちんとコーチングの基本を抑え、目標設定もした上で実施できれば、自分自身の課題やそれに対する解決策も明確になり、成長速度を高めることができます。加えて、クライアント側の気持ちもわかるようになるので、メンバーをコーチングする際にも役立つはずです。

まずは、コーチングの基本を学び、一度実際に受けてみて、セルフコーチングでスキルを磨いてみるといいのではないでしょうか。