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アンコンシャスバイアスを理解して、真のダイバーシティを目指す!

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メンバーと話していても、いまいち何を考えているのかわからない。会議や打ち合わせをしていても、意見がまとまらなかったり、パッとした意見が出てこなかったり…。理由は諸々あるでしょうが、その一つは、もしかするとあなたが持つ“アンコンシャスバイアス”かもしれません。

アンコンシャスバイアスって?

アンコンシャスバイアスとは、文字通り「無自覚(アンコンシャス)な偏見(バイアス)」のこと。

育ってきた環境や、経験してきたことなどに照らし合わせて、何かや誰かについて「きっとこうだ」と無意識のうちに判断してしまうのがアンコンシャスバイアスです。これは脳の働きの一種とも言われており、それがゆえに誰しも持っているのが普通とされています。しかし、そのバイアスが強くかかった状態で発言やなんらかの行動をしてしまうと思わぬ形で相手を傷つけてしまう恐れがあります。良好な人間関係を築く上での支障にもなるため、注意が必要です。

あふれかえるアンコンシャスバイアス

アンコンシャスバイアスには下記の表のようにさまざまなタイプがあります。

■人や組織に影響する様々なアンコンシャス・バイアス<対人バイアスの代表例>

ステレオタイプ(Stereotype)
人の属性や一部の特性をもとに先入観や固定観念で決めつけてしまう
例:「あの人は〇〇だから□□だ」
正常性バイアス(Normalcy bias)
問題が起きても「私は悪くない」と自分に都合のいいように思い込んでしまう
例:「私は大丈夫」「私の判断に間違いはない」
確証バイアス(Confirmation bias)
自分の考えに一致する情報ばかりを探してしまう
例:「やっぱりあの人は悪い人だ」「私の判断に間違いはない」
権威バイアス(Authority bias)
権威のある人の言うことは、間違いないと思い込む
例:「あの人が言うなら間違いない」
集団同調性バイアス(Majority synching bias)
周りと同じように行動してしまう
例:「私の意見も同じです」「みんなが〇〇と言っているから」

 

■キャリアに影響するアンコンシャス・バイアス<キャリアバイアスの代表例>

ハロー効果(Halo Effect)
特定の利点や欠点に目が行き、全体の印象がそれに引きずられてしまう
例:「あの人は〇〇があるからOK」「〇〇が無い人は何をやってもダメ」
ステレオタイプ脅威(Stereotype threat)
自分の「属性」に対する否定的な固定観念が呪縛となる
例:「私は女性なので」「ぼくは次男ですから」
サンクコスト効果(Sunk cost effect)
費やした時間や労力を考えてしまい、やめていいこともやめられなくなる
例:「せっかくこれまでやってきたんだし」「いまさらここで変えられない」
バラ色の回願(Rosy retrospection)
過去を美化してしまい、今を否定してしまう
例:「前の方が良かった」「あの頃に戻りたい」
インポスター症候群(Imposter syndrome)
能力があるにもかかわらず、自分を過小評価してしまう
例:「私にはまだムリ」「私には力不足」

出典:『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』(守屋智敬著)巻末付録

 

わかりやすいのはステレオタイプでしょう。

年齢、性別、人種、学歴、役職といった、その人“属性”で、その人の能力や発言を判断していることはありませんか?

例えば、成長めざましい企業の代表が某国立大学の出身であると、「やっぱり、◯◯大学は違うね」と思ったり、取引先からこちらが勝手に“ローキャリア”という先入観を持っている学歴の人を担当にされたら「重視されていない」と感じたり、逆に若くても役職の高い人だったら「仕事のできる人を当ててくれた」と思ったり。女性社員が細やかな気遣いをしてくれたら「さすが女性」と言ったり、逆に男性が同じことをすると「男性のわりに気がきくな」と言ったり…。挙げていくとキリがありませんが、全て一方的な決めつけ、つまりアンコンシャスバイアスの上に成り立った発言になっています。

ただ、ステレオタイプはわかりやすいだけあって、自分でもすぐ自覚できるものです。セクハラ、パワハラなど「ハラスメント」のガイドラインも気づくきっかけとなっているでしょう。権威バイアスなどもわかりやすいかもしれません。

しかし、周りと同じように行動する集団同調性バイアスや、費やした時間や労力を考えて判断を鈍らせるサンクコスト効果、過去を美化するバラ色の回顧、ましてや自分を過小評価するインポスター症候群などは、それ自体がバイアスであるということすら、思い至らない場合が多いのではないでしょうか。

その行動、ほんとにバイアスがかかっていませんか?

アンコンシャスバイアスは無意識なので、普段の何気ない行動に現れます。なかには「よかれ」と思ってとった行動もあります。

例えば、適任だと思っていても小さいお子さんのいる女性には「大変だろう」と出張をお願いしないとか、キャリアに役立つと思っても、「若い子はプライベートを重視するから」と新人に休日にかかる仕事をさせないとか、新しいシステムの導入にあたって「覚えられないだろう」と、年配社員にアシスタントをつけたりとか…。

いずれも「気を遣った」ことで、当人の成長やキャリアを妨げることになり、気を遣われたほうが不満に感じ、気を遣った方は「よかれと思ったのに」とモヤモヤし、結果、関係がギスギスしてしまうという、双方にとって幸せでない状態になってしまいます。先回りしてその機会を奪う必要はありません。

ここで必要なのは、アンコンシャスバイアスの効いた“気遣い”ではなく“対話”なのです。

ダイバーシティとアンコンシャスバイアスの関係

アンコンシャスバイアスは、人間関係や組織、ひいては事業の成長にも影響を与えます。ダイバーシティ(多様性)が事業の成長には不可欠であることは、すでに議論の余地はないかと思いますが、多様性とは、人や制度を揃えればよいという訳ではありません。異なるバックグラウンド、価値観、考え方を理解し、許容してこそ成り立つものです。

では、その相互理解や許容の段階でアンコンシャスバイアスがかかってしまっていたら?

会議などで意見がまとまらないのは、「異なる意見が重要」と思っていても、先にあげたバイアスの「確証バイアス」が働いているからかもしれないし、イノベーティブな意見が出ないのも、「集団同調性バイアス」や「サンクコスト効果」の表れかもしれません。

また人財の有効活用にも、なんらかのアンコンシャスバイアスが働いて、最適化できていない可能性だってあります。

アンコンシャスバイアスはコントロールできる

先にお伝えした通り、アンコンシャスバイアスは脳の働きの一部なのであり、誰しもが持っているものです。実際に、日本労働組合連合が5万人から回答を得たアンケートでは、実に95%以上の人が、何らかのアンコンシャスバイアスを認知している結果となっています。

また、アンコンシャスバイアスが組織改革、特にダイバーシティの実現の鍵となっていることを認識している企業も増えており、その改善に向けての取り組みが行われつつあります。

取り組みの中で多いのは、管理職への研修・ワークショップです。リーダー職からトレーニングを行う理由は、部下が遠慮なく「それってバイアスかかっていませんか?」といった違和感を口に出せる空気感や場をつくること、ひいてはバイアスのないカルチャーを作っていくためです。会社にもたらす影響や期待値が大きい管理職だからこそ、彼らへのアプローチが必要なのです。

アンコンシャスバイアスにかかる研修を提供するチェンジウェーブによると、「バイアスレベルを測定」「自分の偏見を自覚」「コントロールする手法を学ぶ」を繰り返すと、アンコンシャスバイアスを無意識から意識下へ置くことができるようになり、それを習慣化することで、アンコンシャスバイアスをコントロールできるようになるといいます。

まずは自らのアンコンシャスバイアスを知ることから

無意識の領域にあるものを意識下に置くことはかなり困難です。アンコンシャスバイアスを自覚することも、もちろん同様です。

しかし、アンコンシャスバイアスは、定量化できるテストを使って測定することが可能です。ハーバード大の研究から生まれたThe Implicit Association Test (IAT) がポピュラーで、それを応用したテストもいくつかあります。

例を見てみましょう。

□「親が単身赴任中」というと、父親を想像する(母親を想像しない)

□ 体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀そうだと思う

□ お茶出し、受付対応、事務職、保育士というと、女性を思い浮かべる

□ DV(ドメスティック・バイオレンス)と聞くと男性が暴力をはたらいていると想像する(女性を想像しない)

※日本労働組合総連合会実施のアンケートより

□男女かかわりなく、意欲&能力のあるものを育成・登用すべきであるから、女性だけに特別な育成施策を行うのは良くないと思う。

□子どもを持つ女性に残業無し・時短勤務などの配慮をすることは、子どもを持たない女性にとって不公平な話である。

□会議などで意見を強く主張する女性は、自己顕示欲が強そうだ。

□上のポジションにチャレンジする意思を明確に持たない女性まで育成するのは、コストがもったいないと思う。

※サイコム・ブレインズ、アンコンシャス・バイアスチェックリストより

 

ちょっとみただけでもハッとする項目があるのではないでしょうか?まずは「自分自身の偏見を知る」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

他者と対話することで本当の理解につながる

自らの中にあるアンコンシャスバイアスについて知ることができたら、次は実際にそれを他者と対話してみましょう。研修を活用するのもいいですね。対話の場を持つことでさまざまなアンコンシャスバイアスの事例に触れることができ、それがバイアスのないカルチャーや空気感を作ることにつながります。真のダイバーシティ組織を目指す上で、アンコンシャスバイアスの理解はもはや必要不可欠になっているのです。